「君は話をしたがるくせに、大切なことは何一つ話さない」そう言われた。だからいつまでたっても自分は君のことを何一つ知らないのだ、と。

私は、カテゴライズされることがきらいだ。人から形容されることがきらいだ。その瞬間、私という人格は限定され、認識の枠の中に閉じ込められてしまう。認識とは自由な響きをもつようで、その実、あらゆる未知を把握し自分のテリトリーに取り込もうとする、人間の利己的な本能なのである。

あなたの意識の中の私を、解放してほしい。そして話すたび、触れるたび、また新たな私をそこに発見してほしいのだ。だから私には、もう名前すら要らない。
情報でしか私を認識できなかった臆病なあの人には、悲しいけれど、さようならを言いました。


浮かんでは消える記憶のような、残像のような、何か。わたしという実体は幻想であり、あなたがわたしを認識するとき、その意識の中にのみ、わたしは存在する。