その人は、愛しい彼女の話を私に聞かせてくれた。恋に悩み愛に悩み未来に不安を抱えている彼は、私と話をしながら、私の中に映る彼自身と向き合っていた。そうして、うんうんと相槌を打つ私に、「自分の中に答えが見えた気がする」と言った。実に正しい会話の形であるな、と思った。
個人的な問題において、他人の中に答えがある、ということは稀だろう。それでも人が誰かに相談をする理由は、他人という鏡を通して、自分自身を客観視するためなのではないか。占いにしたってそうだ。占い師の抽象的なメッセージから「なにか」を読み取るときに、人は自分と向き合っている。優秀な占い師は、問いかけ、をするのが上手い。結局、答えは自分で見つけるものだ。

他人の中に答えを求めた場合、往々にしてその関係は破綻する。これはまた、別の話。