わがまま

共感だけじゃ物足りないこと。「そうだね」って優しく頷いてくれるだけじゃ、ときには、物足りなくて、悲しくなってしまうことがある。たとえば、心の中が、ぐちゃぐちゃになってなっていても、感情表現がうまくいかないわたしは普通にしか話せないから、その心の中のぐちゃぐちゃを読み取ってほしい。それで、ときには、「ちがうよ」って叱ってほしい。もしも意地を張ってわたしが、ちがわない!と駄々をこねても、ちゃんと諭して、それから、頭を撫でてくれれば満足なのです。きっと安心して眠れる。

「君は父親の愛情を俺の中に探してるんだよ。」と言われたときから、わたしは彼の前では上手に大人なふりが出来なくなってしまった。「無理して背伸びしてる姿が可笑しくてしょうがないと思った」と彼は言う。ずっとそうやってうまくやってきたのに。今まで築き上げてきた自分が崩壊して、呆然とするわたしに、彼は甘い世界とお菓子をくれた。子供の頃から許されなかった「甘えてもいい場所」が今やっと手に入ったようで、わたしは、取り留めのないわがままをくりかえす。吐き出す。彼はそれをなんなく消化する。そうやって、きっともう永遠にこの人の世界から、抜け出せない。